人とAIの協動によるストレスフリーなカスタマーサービスの実現へ
ユーザーへの問合せ対応やお客さま相談窓口などのカスタマーサービス領域では、採用難や離職率の高さに伴う人材不足や、製品やサービスの複雑化に伴うコミュニケーターの育成の長期化などの問題が顕在化しており、近年AIによる自動応対に移行しはじめています。
しかしながら、日々、新しいアルゴリズムが研究・開発される一方、単一のアルゴリズムで多種・多様な業務環境、ならびに日々変わっていく問い合わせ傾向に適合するのは困難です。また、同じような問合せ内容でもユーザーからはさまざまな表現が寄せられるため、一様にAIで自動対応することが難しく、さらに回答の元となるFAQやマニュアルなどのナレッジの整備・アップデートに膨大なコストが発生しているのが現状です。
C3POでは、このような現状の課題を乗り越える技術を研究開発しています。
ソニーCSLの研究員であるミカエル・シュプランガーは、長年にわたり取り組んできた言語の進化や構造に関する研究や、機械学習の技術を活用して、言語の構造や、文章のもつ意味の理解や単語の類似性の把握をするために必要な様々なアルゴリズムや各種パラメータを評価・検証しております。その成果をベースに、C3POでは下記のシステムや機能の研究開発をしています。
・最新アルゴリズムを取り込み、各データセットに最適なAIエンジンを自動構築するシステム
・検索モデルの高精度化に向けた教師データの作成を半自動化・効率化する機能
・問い合わせログから新しいナレッジ候補を効率的に探し出す機能
これらの技術を活用することにより、ユーザーが正しいナレッジにすばやくアクセスできるようになることで顧客ロイヤリティを高め、問合せを削減する効果が見込まれます。そしてコミュニケーターは再三繰り返される同じような問合せが削減されることで、本来人間によるヒアリング力や解決力が必要とされるところに集中できるようになることが実現できると考えています。さらに、従来は人が表計算ソフトを用いて突合し、これまでの経験に基づき判断する等、属人的な作業であった教師データの作成作業、FAQの管理・更新作業の省力化が見込まれます。
当プロジェクトでは、AIがコンタクトセンターの現場を支え、人とAIが協動する” Cybernetics Contact Center”を構築し、カスタマーサービスの領域をストレスフリーな世界に変えていくことを目指しています。
[採用事例]
C3POで研究開発された技術は既にウェブからの問い合わせを減らす自動応答/FAQ検索エンジンやFAQ作成支援ツールなどといった形で、ソニーマーケティング(株)にて活用されています。(2019年5月より)
This article is available only in Japanese.