拡張生態系入門キット

人間は環境を破壊するのと同じ以上に、自然を構築することもできる存在です。過去10年にわたる生産性と環境破壊のトレードオフからの脱却を目指した新しい農法の研究から、人間が介在することで、生態系の多様性や機能性を拡張できることがわかっています。

「シネコポータル(Syneco Portal)」 は、小さな拡張生態系を作りながら周囲の環境との交流を体験し、学ぶための入り口です。この小さな生態系は、周囲の緑地や風・雨・光、そして他の場所にある別のポータルや未だ見ぬ人々とつながることを通じて、誰でも生態系の豊かさに根差した生き方を深めていくことができるきっかけとなるようデザインされています。

「シネコポータル」はソニーCSLリサーチャーの舩橋真俊 監修の元、一般社団法人シネコカルチャー* ナビゲーターでデザイナーの福田桂氏とソニーCSL RAG本條陽子で企画・設計されました。拡張生態系の仕組みや作り方を学ぶためのハンドブック「シネコポータル:拡張生態系入門キット」もあわせて製作・公開しています。

このハンドブックに従って、どなたでも実際に植物を混生密生させるシネコポータルを作ることができます。出来上がったポータルは、循環する生態系のネットワークを体感するための装置となり、継続的な学びにつながることが期待されます。

  • シネコポータル:拡張生態系入門キット ハンドブック:日本語PDF
  • Syneco Portal : Synecoculture™ Learning Kit Handbook : 英語PDF  仏語PDF (Ver.0.51) (New! Ver.0.5)

* 一般社団法人シネコカルチャーは舩橋と本條が「協生農法・拡張生態系」の研究成果を社会普及・還元するために2018年に設立した社団法人です。

六本木ヒルズにおける実証実験

ソニーCSLは、森ビル株式会社が運営する六本木ヒルズの屋上庭園を舞台に、 2019年11月より都市空間における協生農法・拡張生態系に関わる実証実験を行っています。
今回の実験では、協生農法による拡張生態系の実装を高層建築物の屋上で行っています。3種類の異なる土壌のプランターを5基設置し、野菜・果樹を中⼼に100種類以上の植物を混生密生させ、⽣育状態を継続的に観察しています。また、屋上庭園の露地部分において200種類以上の有用植物を栽培し、こちらも経過観察しています。[プレスリリース]

 
<実験概要>

六本木ヒルズけやき坂コンプレックス屋上の実験場の様子

 

ソニー銀座パークにおける展示

2021年7月24日から8月10日まで、銀座ソニーパークでソニー CSLによる研究展  “人類の未来の研究”が開催され、舩橋研究員の研究紹介にシネコポータルを展示しました。屋内で生態系を展示するということもあり、風通しや日照不足で植物が萎れてしまうことへの懸念から、会期中にプランターを交換する前提で、企画展スペースに常時2基展示しつつ、屋外にも2基設置。屋外のシネコポータルは、企画展への誘導の役割も果たしました。

  • 期間:2021年7月24日(土) ~ 8月10日(火)
  • 時間:11:00 ~ 19:00
  • 場所:Ginza Sony Park (PARK B2~B4/地下2 – 4階)

銀座ソニーパークに設置されたシネコポータル

※「協生理論学習 キット」と呼んでいたものの名前を変更しました(2021.7.23)

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