楽曲制作において、ドラムデザインは重要なプロセスです。近年は、サンプルライブラリの音源を加工することでオリジナルのドラム音を作る方法が主流ですが、膨大なライブラリから気に入った音源を探しだしたり、サンプラーで複雑な加工を繰り返すことは、ときに創造性の妨げになってきました。

DrumGANはソニーCSLで音楽を研究するチームが研究開発したドラム音生成AIです。AIを活用することで、元の音源には存在しない、新しいドラム音を直感的に作ることができます。DrumGANを使うことで音楽クリエイターは従来のように既存の音源に依存することなく、キックっぽさやスネアっぽさ、シンバルっぽさなどの直感的なパラメーターを調整しながらオリジナルのドラム音を作ることができます。

DrumGANではニューラルネットワークを使ったオーディオ生成技術「Neural Audio Synthesis」を核としています。ニューラルネットワークを活用した自動生成技術は一般的には、リアルに見える人間の顔写真を生成する研究として実用化されていますが、この技術を音声に適用することで、新しいドラム音の生成を実現しています。本研究は、ソニーCSLパリのStefan LattnerとJavier Nistalを中心に研究開発を行いました。

DrumGANを使用した取り組み

2020年、DrumGANはフランスのhip-hopビートメイカー/プロデューサーのTwenty9とのコラボレーションでドラムキット「The A.I. Drum Kit」をリリース。

膨大な量のサンプルを生み出すことができるDrumGANと、サウンドメイク・経験においても優れたプロデューサーであるTwenty9のコラボレーションにより、時代を超越したドラムキットが誕生しました。

The AI Drum Kit, by Twenty9 and Sony CSL

TechHub Web : https://techhub.developer.sony.com/drumgan/
#TechHubはソニーグループの研究成果の一部を公開するサイトです。