Former Project on Creativity
Das Fremde
ソニーコンピューターサイエンス研究所(以下、ソニー CSL)では、言語の創発や進化の仕組みを長年にわたり研究をしてきました。その成果の一つとしてロボットを使ったインスタレーション、
Das Fremdeが完成しました。

言語進化の研究
ソニー CSLはここ10年間で広範な言語進化の研究を行ってきました。物の名称(Loetzsch et al., 2016)や、空間言語(Spranger 2012, 2013, 2016)、色を表す言葉(Bleys et al., 2009)、アクションおよびイベント言語(Steels et al., 2012)などの進化についてだけではなく、語彙アスペクトなどの構文(Gerasymova et al., 2012)や決定要因(Pauw & Hilferty, 2012)などもあります。これらの研究によって、コミュニケーションツールとしての言語の進化を促す要因として、具体化(Loetzsch & Spranger, 2011)、概念化(Spranger et al., 2010)および社会的環境(Baroncchelli et al., 2010)の関係が詳細に見えてきました。
Das Fremdeとは
Das Fremdeは独自の言語と文化をリアルタイムで発明するAIロボットの集団から成るインスタレーションであり、このロボット集団は、周囲の環境、特に来訪者との交流を通じて独自のミクロ文化を発展させていきます。
このインスタレーションでは、ロボット集団が、人間の文化に出会うことによって独自の文化的アイデンティティーを創り上げていくプロセスを見ることができます。 Das Fremdeは、人工知能時代に人間と機械はどのように双方向に影響するかということに問いを投げかけ、ロボットと人間とが時間と空間を共有しうる、内省を育む詩的なひとときを提供します。

私たちはロボットに共感することができるのか?ロボット文化は来訪者にどう反応するのか?ロボットの文化と私たちの文化との間には果たしてどれだけの違いがあるのか?私たちの視点から見た機械との関係性は?そして機械の視点から見た私たちとの関係性は?もしかするとロボット文化主体の視点から問い直すことの方が大切なのかもしれません。
Das Fremdeは、今の社会や科学コミュニティの最大の関心の一つである人工知能と文化的アイデンティティに関する最先端の議論を反映するように、機械であれ人間であれ、文化的アイデンティティはどのように構築されていくのかというプロセスを芸術的なアプローチで解き明かすことを試みています。
構想および実現:ミカエル・シュプランガー&ステファン・ノエル
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