Affordable prostheses(途上国向け義足)およそ3000円をコストターゲットに開発されているのが、途上国向け義足です。ローカルで調達できる樹脂素材を利用し、ローカルの工場で製造できるビジネスモデルを考えながら進められているのもこの研究開発の特徴です。

研究員の遠藤謙が途上国向け義足の開発に着手したきっかけは、マサチューセッツ工科大学(MIT)博士課程時代にインドのジャイプールフットというNPO(非営利法人)と出会ったことでした。ジャイプールフットは1975年から寄付を元手に義足を制作し、足を失った人に義足を無償提供している団体です。

ジャイプールフットは貧困層を対象に無償で義足を配ることに強い信念を持っています。彼らを通じて義足を配るには、コストを既存品同等の3000円程度に抑えなくてはいけないところから遠藤のインドでのチャレンジがスタートしています。


Affordable prostheses(途上国向け義足)03先進国と途上国のものづくりは、技術、素材、人と与えられた環境が全く違います。ただし、その与えられた環境の中でベストなものをつくろうとする姿勢は最先端のロボット義足をつくるのも、3000円の義足をつくるのも、本質は同じです。このような気付きから、遠藤は自分が培ってきたロボット義足の研究を発展国向け義足づくりに応用しようとしています。

一方で、日本の医療保険制度では、保険適用される義足は1足だけ。高額ということもあり、義足ユーザーはたいてい義足を1足しか持っていません。そして、今、使っている義足が壊れたら歩けなくなるという恐怖があり、ユーザーはその使い方に配慮を怠りません。そんな状況下、3000円ぐらいで買える義足があれば、使い捨て感覚で温泉に行ったり、海に行ったりとできるかもしれません。低価格の義足は途上国に限らず、日本のユーザーにも、より行動範囲の広い生活を送ることを可能にするポテンシャルも持っています。


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