ニーズにそった認識手段をシステムが自動的に作りだす


膨大な情報の中から、必要なものだけを選び出す「認識手段」の重要性

現代に生きる私たちは、テキストや音楽、写真、動画など、いろいろな情報に囲まれて生活しています。 それらの膨大な情報の中から必要なものだけを素早く取り出すために使われているのが、コンピュータのさまざまな認識手段です。たとえば、「顔認識」を使うことで、写真の中で顔が写っているものだけを高い精度で選び出すことができます。 こうした認識手段は、研究者や技術者が、長い年月をかけて試行錯誤を重ね、研究開発した成果です。しかし、人々の関心が多様化する今日、必要な認識手段の開発をすべて専門家にまかせることは難しくなってきています。 たとえば、飛行機を好きな人が、様々な航空会社の機体の写真が混在する中から、それぞれの航空会社ごとに写真を分類したいと望んでも、そのニーズをくみ取り、研究者や技術者が、認識手段を開発してくれることはないでしょう。 しかし、こうした問題は、システムが自動的に認識手段を作り出すことができれば、解決します。 これを実現したのがELFE(Evolutional Learning for Feature Extraction)技術です。

基本関数を遺伝子として掛け合わせて、データ分類を行なう複雑な処理を作り出す

ELFEのコアは、遺伝的プログラミング (Genetic Programming) というソフトウェア技術です。さまざまな基本関数を遺伝子の要素としてあつかい、掛け合わせ評価していくことで、 データを分類する複雑な処理を生成していきます。 飛行機の写真の場合なら、システムに対して、分類してほしい航空会社の写真のサンプルを与え、関数を組み合わせて分類を試し、高い精度でそれぞれの航空会社の機体に分別できる認識アルゴリズムをシステムが作り上げます。 ELFEは、音響特徴量解析システム を研究開発していた元Sony CSL Paris のFrancois Pachet氏とソニー株式会社の小林由幸氏が共同で研究開発したもので、音楽分類、画像分類など様々な分野において、その有効性が確認されています。 ELFEによって作られた認識手段は、既に、携帯電話、タブレット、Walkmanなどの様々なソニー機器で使われており、ソニーの製造現場における製品の自動識別にも使われています。

※ELFE(Evolutional Learning for Feature Extraction)はソニー株式会社の商標です。

更に、2018年よりソニーネットワークコミュニケーションズ(株)より、「画像判別ソリューション」としてサービス提供も開始されました。