音楽は芸術の一分野であり、その性質上きわめて多様な形態をとり得ます。しかし、現実的には「何でもアリ」というわけではありません。音楽は高度に構造化され、特定のルールに従っています。さらに、ある音楽的構造が別の構造よりも聴衆に好まれる理由は、いまだ完全には解明されていません。こうした要素によって、音楽は分析の面でも生成の面でも非常に魅力的な研究対象となっています。音楽に含まれるパターン(「どのようなものか」)を見つけ出すことは、技術的に困難な場合があります。そして、そのパターンの種類の多様性が、音楽情報研究分野におけるさまざまな専門領域を生み出してきました。これらのパターンは、さらに難しくも興味深い問い――「なぜ音楽はそうした構造をとるのか?」「なぜ同じ音楽でも人によって感じ方が違うのか?」――に対する手がかりを示唆します。音楽は論理的思考を必要とせずに鑑賞できるため、統計的な手法だけでも十分に記述できます。機械学習は本質的に統計学に基づいているため、こうした疑問に答えるのに適した枠組みと言えます。

計算手法を用いて音楽の分析や生成を研究することで、音楽という対象を総合的に理解する道が開けてきます。私は「再現できるものこそ本質的に理解したと言える」という考えを持っています。そのため私にとっては、音楽分析と音楽制作(“musicing”)、そして音楽生成に注力することが重要です。幸いにも、音楽を「作る」ことと「生成する」ことは高い親和性を持ち、これが私の主要な研究テーマである、AIを用いた音楽制作支援へと直結しています。私は音楽制作をより直感的で、楽しく、そしてダイレクトに行うためのツールの開発を目指しているのです。

Keywords

Music Generation
Music Information Research
Representation Learning
Information Theory
Ai-assisted Music Making