大和田 茂

子どもは愛情で育てる、などとよく言われます。周囲の人々との情緒的な関わりの中で人格が形成され、多様な個性と能力を持った人物が育っていくことに異論を唱える人はいないでしょう。一方で子どもをどのように「よく」育てるかという課題には、文化や政策、関わる個人の価値観の多様性が反映され、単純な答えが存在せず、感情と主観に頼りがちになってしまうのが現状ではないでしょうか。しかし、子育て活動の価値を、感情と主観のみによって評価し続けるのは、課題抽出や効果的な対策を講じる上では遠回りです。
私の興味は、保育の現場にテクノロジーを持ち込む「保育テック」によって、発達過程を先端技術を用いて客観的に分析し、その振り返りと新たな実践を通じて子育ての質が向上していく可能性にあります。 日本の保育現場は忙しい職場であり、失敗の可能性がある新たなチャレンジが難しい面もあります。そこで私は自ら保育士の資格を取り、現場に入ることによって価値観を共有し、相互理解のもとに研究を進めることにしました。「保育テック」のコンセプトには多くの方々の共感を頂くことができ、様々なプロジェクトが走り始めました。今後も内外のパートナーと協力して、よりよい子育てを実現するための研究に邁進したいと思います。

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