今回は、インタラクションラボラトリーの宮島靖研究員が研究開発中のMMG(Music Mosaic Generator)について、本人にインタビューしてきたのでご報告します。
- MMGとは何ですか?
宮島 MMGは、誰でも簡単に音楽をリミックスできるソフトです。ユーザーは手持ちのCDの曲をいくつか組み合わせて、新しい音楽コンテンツを作って楽しむことができます。
- 面白そうですね。このようなソフトはこれまでなかったのでしょうか?
宮島 音楽をリミックスすることは、これまでDJなど、専門知識と技術を持った人々が波形をいじって作っていました。これは非常に手間のかかるものです。MMGは、そのような知識がなくても、ブロック単位で曲の要素を組み合わせていくことにより、リミックス曲を完成させることができます。これはこれまでできなかったことです。
- なるほど。ではぜひ私もやってみたいと思いますが、それには何が必要ですか?
宮島 まず、誰かがリミックスした曲を楽しみたいだけなら、リミックスの元となる音源。これには手持ちのCDを使うこともできます。それに加え、リミックスのレシピ情報が必要です。これは自由に交換できるもので、サンプルデータはまだ公開していないのですが、今年6月下旬に実験用のサーバを立ち上げ、公開を開始いたします。そしてリミックスしながら再生するためのソフト。こちらも6月下旬に同時に公開します。
リミックスのレシピを自分で作成したいなら、元の音源、それと、その音源をMMGで使えるようにするために必要な曲の付加情報(これをメタデータと呼びます )、それに、MMGのソフトが必要です。こちらも6月頭公開です。公開されるものはすべて無料です。メタデータに関しては、現在のCDDBのように、誰でもそのデータを作ることができ、その情報をみんなで共有するようなモデルを考えています。
曲によってはメタデータ情報がないものがあります。それには、自力でメタデータをつける必要があります。これもMMGのソフトウェアを使えば可能です。
- わかりました。でもそれならミックスされたあとの曲をまとめてMP3などにして公開してくれたらと思うのですが...
宮島 個人用途であれば、一つの曲情報としてコンピュータに保管しておくこともできますが、そのデータを公開することは著作権法に反するのでできません。MMGでは交換されるものをレシピデータに限ることによって法律上の問題をクリアしています。オリジナルを持っている人がそれを組み合わせて聞くだけなら問題ないというわけです。
- なるほど。わかりました。それなら大丈夫そうですね。では、6月下旬の公開を楽しみにしています。最後に、このソフトにかける思いと、今後の予定を聞かせてください。
宮島 私はこのソフトを、音楽のCGM(消費者自身がつくりだすコンテンツ)文化を創りたいと思って製作しました。音楽以外の分野にはすべて、すでにCGM文化があります。音楽は技術的に難しかったのですが、MMGを使えば簡単に、かつ合法的にCGMを楽しむことができます。ぜひこの面白さをみんなで分かち合いたいと思います。
6月下旬にシステムを公開しますが、今後はなんといってもレシピの充実が課題です。メタデータはコード、ビート、そしてAメロBメロなどのメロディーの進行順序情報を含んでおり、これを作るにはある程度の音楽知識が必要ですが、これさえ揃えば誰にでもリミックスを楽しめる環境ができます。ぜひ多くの方々に参加していただき、ここを起点に新たな文化を作っていきたいと思っています。
...ということでMMG,音楽と人間との関係を一変させる可能性を秘めたソフトだと思います。6月下旬の公開を楽しみにしていてください!公開されたら、CSL online experimentsのページからリンクが貼られます。RSSのチェックをお忘れなく!
2008年6月25日公開: http://www.musicmashroom.com/
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