未来予測ではなく未来をたぐりよせるためのシミュレーション 佐々木 貴宏研究員

気候変動、生物多様性、食糧、資源、経済・社会の安定性など、現在私たちが直面する問題に共通するのは、これらがオープンシステムの問題であり、問題解決を図る者すなわち私たち自身が内部観測者として問題の中に含まれるという点にあります。つまり、私たちは問題の対象を完全に制御したり、状況をリセットしてやり直したりすることが出来ません。このような対象を科学的に扱うのは困難であるとされてきました。なぜならば、繰り返し再現可能な現象に対して理論や仮説の検証もしくは反証を重ねていくことが科学の方法であるからです。そこで、現実には一回性である問題をシミュレーションによって仮想的に再現することができるならば、これまでは適用が難しかった問題に対して科学的なアプローチで迫れる可能性が開かれると考えています。現在私は不確実な状況下において、従来、経験や勘に頼って行われてきた社会経済的な意思決定の問題に対して、モデリングとシミュレーションおよびその可視化技術を用いることで、体系的に支援する方法論についての研究を進めています。究極的な目標は、オープンシステムの総合的な理解を通じて、問題に対するより本質的で長期的な視野に立った解決への道筋を見つけ出すことです。
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Keywords
Selected Publications
Takahiro Sasaki
Hierarchical Multi-Agent-Based Model for Simulating the Prevalence and Evolution of Influenza VirusSpring Simulation Multi-Conference, 2013
Sasaki, T. and Tokoro, M.
Evolving Learnable Neural Networks under Changing Environments with Various Rates of Inheritance of Acquired CharactersVol.5, pages 203--223, Artificial Life (MIT Press), 1999