11月21日,22日に東京都立産業貿易センター浜松町館で開催された保育博に大和田研究員がリーダーを務めるソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニー CSL)保育テックチームが研究を進めている内容についての展示を行いました。会場では企業展示だけでなくセミナーも行われており、多くの人で盛況でした。その様子をレポートします。
映像とAIを活用した保育振り返りサービス
このサービスは専用のスマホアプリを通して、保育士が振り返りたい場面で連携するスマートウォッチや無線接続ボタンを押すことで保育現場を録画することができます。そしてそこから過去に遡って数分(変更可)の動画をチャットアプリにアップロードし、関係者間で共有することができます。また保育カメラの専用クラウドサービスでは、チャットアプリにアップロードされた瞬間だけでなく、撮影中の全ての動画を保管し、AIを用いた分析を行ったり、振り返りたいポイントにウェブブラウザからマーク(付箋)をつけたりすることができます。
保育業務は属人的でノウハウもあまり共有されていない現状が問題視されており、ノウハウの共有や現場の振り返りを通して、保育の質向上に資することが期待されます。
保育メタバース
このシステムは保育室をメタバース上で再現することで、保育室に入ることができない外部の関係者が現場を理解することを目的としています。、保育という営みには,保育士だけでなく保護者や医療関係者,食の専門家や玩具・家具の専門家など、多様なエキスパートが関わっています。しかし保育室は保育士以外の人間が入ることが難しい空間です。この保育メタバースという場が、時間的・空間的制約を超えて,さまざまな人々が交流することでサービスの改善を目指すプラットフォームとなることが期待されます。
展示ではディスプレイにメタバース空間を表示するだけでなく、実際にヘッドマウントディスプレイを使って体験できるコーナーが設けられました。この保育メタバースは各所での実証実験や、保育環境の三次元スキャンなど、さまざまな方面から保育メタバースの実現を目指し活動しています。
それぞれの展示に立ち寄った方々は現場の保育士だけでなく、保育関連企業の担当者、保険業界の方など幅広い層の方々が足を止めていました。多くの人が足を止め興味をお寄せいただく様子から、AI×保育に対する期待の高さが伺えました。現場の方々からは研修で使えそうという期待の声も寄せられていました。
どうして今回保育テックチームとして展示を行ったのか、プロジェクトリーダーである大和田研究員に伺いました。
「もともとは私の研究からスタートした保育テックですが、現在は保育テックチームとして活動の幅を広げています。改めてこのような場で展示を行い、保育関係者からのフィードバックを得ることでチームとしての目指すべき目標をすり合わせることができるのではないかと考え、展示を行いました。」(大和田)
また他のチームメンバーからは,「我々のプロジェクトを知っていただく良い機会になる」,「コラボレーションのきっかけや、パートナー探しにも繋がれば」と展示に懸ける思いを伺うことができました。
保育テックチームでは、より保育の質を高めるにはどのようなサービスが求められているのか、今後も研究活動を進めていきながら模索を続けていくとのことです。保育×技術で保育の未来を切り開くソニーCSL保育テックチームの今後の活躍にご期待ください。
*Focal Point (FP)は、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が研究活動を推進する枠組みの一つで、研究テーマに合わせて集まったメンバーからなる「チーム」です。それぞれのFPには独自のマークと6桁の文字列が振られます。積層されるFPマークはソニーCSLのロゴのエレメントからデザインされています。
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