人とAIの協動によるストレスフリーなカスタマーサービスの実現へ
Cybernetics Contact Center PrOjectで開発したAI検索エンジン「Mopas®」、ならびにAIナレッジメンテナンス「Knowledge Creator®」は、現在ソニーマーケティング株式会社(SOMK)のカスタマーサービスで活用されています。
今回はSOMKでの取り組みについて、ソニーカスタマーサービス(株) カスタマーインフォメーション部 兼 ソニーマーケティング(株) カスタマーサービス本部の田頭 明大さんにお話しを伺いました。
1. カスタマーサービス業務にAI活用の取り組みの経緯
2. 一問一答形式のメールでお問い合わせへの自動応答導入
3. 高い回答精度と回答精度の向上に向けた仕組みが決め手
4. 今後はオペレーター支援や、AIカンバセーションに発展
――お客さまからの問い合わせの自動応対にAIを活用された狙いをお聞かせください。
田頭:コンタクトセンター業界では、お客さまサポートチャネルの主軸は「電話」という固定観念があります。私たちも同様でしたが、お客さまのニーズの変化や日本国内でのリソース配置という面で課題意識を持ち、2012年よりコンタクトチャネルのBPR活動(業務プロセス全体の見直し)を進めてきました。
カスタマーサービス業務にAIを組み込んでいく取り組みは、2016年からスタートしています。AIは、自らが膨大なデータから分類するルールを見つけ、解答を導き出せるようになったといわれています。我々は、この学習するAI技術を(チャットボットとは別に)メール問い合わせに活用できないかと考え、AIによる自動応対の検討をその年にスタートしました。当時は、先進的な技術をいち早く取り入れることで、のちのち世間でAI導入の機運が高まった時に対応できるように、との目算もありました。
田頭 明大さん
(ソニーカスタマーサービス(株)カスタマーインフォメーション部 兼 SOMK CS本部)
――AIによる自動対応について、どのような特徴があるのでしょうか。
田頭:一問一答形式の“メールでお問い合わせ”に、Mopas®による自動応答を導入しております。
“メールでお問い合わせ”は、100文字以内で質問を記入するとMopas®が回答するものです。メール応対業務へのAI導入以前は、お客さまとのやり取りにおいて、オペレーターが質問内容を見極めてから回答していました。しかし、AIによる自動応答を導入した今では、一問一答で回答できる比較的簡単な質問をAIが前捌きすることにより、オペレーターに届く質問内容を絞り込んでくれています。
この自動対応により、お客さま視点では、スピーディーに回答が得られるので満足度向上につながり、我々にとってはお客さま応対の業務の効率化が図れるようになりました。
メール問い合わせ時の自動応答イメージ図
製品の使い方や故障に関する質問を自由な文章で入力いただくと、即座に回答候補を3件表示します。解決できなかった質問に関しては、オペレーターに繋ぎ、後日オペレーターからの返信が届きます。
田頭:AI導入のファーストステップでは、すでに国内リリースされている複数のAI検索エンジンを比較・検討し、導入までをおこないました。しかしながら回答精度の向上活動などを進めると、利用者側にはオープンにされていない仕様が多くあり、思ったようにチューニングができず、一定以上の改善には高い障壁があることに気づきました。
そんな時に、コンタクトセンター領域でのAI活用について、ソニーCSLよりお話をいただきました。ソニーCSLで研究開発されているAI検索エンジン(Mopas®)は、これまで導入していたものよりも高い回答精度を実現しながら、さらなる回答精度の向上に向けた仕組み(Knowledge Creator®)を盛り込んでいました。また、パイロット運用しながら、現場から生まれてくるリクエストを積極的に開発内容に組み込んでいただけるという点もとても魅力的でしたので、2019年よりMopas®への切替を決めました。
切替後には、アルゴリズムの改善や回答精度の向上など、細かなチューニングができるようになったことで、自動回答による応答を大きく高めることができました。2020年には新型コロナウイルスによる影響もあり、メールによる問い合わせが増加したのですが、高い自動応答率を実現することにより、大きな混乱なく対応ができたと考えております。
田頭:現在リリースしているAI検索エンジンをメールの自動応答一問一答で終わらせるのではなく、コールやチャットなどオペレーター応対の支援機能や、チャット自動応答のAIカンバセーションにまで発展させていきたいと考えております。
Mopas®とKnowledge Creator®は株式会社ベルシステム24ホールディングスの商標です。
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