3/16 (水)
DAY1 : Data & AI
ソニーCSLは、その設立の理念として「人類の未来のための研究」を行うと宣言して発足しましたが、今日、その理念をさらに推し進め「人類とこの惑星の未来のための研究」を行うことがミッションであると考えるに至りました。
本発表では、ソニーCSLでの取り組みを総論的に紹介し、ミッションステートメント更新の背景ならびに、本Open Houseでのキーメッセージである「Global Influence Projection」についてお話します。
私は、社会のメンタルヘルス問題に寄り添うことを目指し、背後にある脳のメカニズムや介入手法を探る研究に日々取り組んでいます。このセッションでは、私が特に専門とする「不安」な心の働きについての研究を紹介します。
なぜ、私たちは「不安」な心の働きと無縁な生活を送ることが難しいのでしょうか?その重要なヒントとなるのが、「不安」という防衛機能を盾にして、様々な危険からヒトの命を頑なに守ろうとする脳のメカニズムです。この脳のメカニズムを詳しく研究するためには、実際には複雑な心の現象をごく単純に再定義する必要があります。ですが、シンプルに還元しすぎた研究成果は、実社会における心の現象にはトランスレートしにくいという問題もあります。
私は、みなさんを悩ませている心の問題を理解するだけではなく、実際に柔らげる手法にトランスレートすることを一つの大切な研究のゴールと見据えています。そのゴールに向けて、従来研究と実社会のギャップを埋める重要な要素を見出し、一つ一つ丁寧に検証を重ねています。
私は2021年からCSLへジョインし、"μmスケールの困難な精密作業を誰もが簡単に行うための小型ロボット"を軸に置いた研究活動を開始しました。精密作業を担うロボット技術の応用先は、工場など産業領域における部品加工や組立作業、研究機関での化学実験や医療領域におけるマイクロ手術領域など、例を挙げればきりがありません。共通する要求仕様としてはサブmmスケールの再現精度であり、正確な作業が求められる領域で広く使用されています。一方でロボットに共通した重要課題として、#1. 安全性、#2. 大きさ・重量、#3. 価格などが挙げられます。
筆者は「新技術や新事業を創出し、人類・社会に貢献」というCSLのミッションの下で特に医療分野に着目し、安全かつ小型軽量で低価格な超精密ロボットを実現することによって、医学の進歩へ貢献することを目標に研究活動を行っています。本発表では、先で挙げた重要課題や実用化に向けて行っている私の研究活動に関して議論したいと思います。
人間、人工エージェント、あるいは科学的プロセスそのものが学習するのに最適な領域は、成功と失敗の境界線にあります。失敗をしないのは本気で取り組んでいないからだ、といったことを耳にすることがありますが、この考え方をさまざまな複雑系に適用するとどうなるでしょうか。
本講演では、研究者としての私の核となる二つの活動について紹介したいと思います。第1部では、科学機関における分散型社会実験や新規の出版プラットフォーム、これまでにないタイプの科学コンテストなど、科学的プロセスにおける既知の失敗をもとに、科学コミュニティに革命を起こす取り組みを焦点をあてます。第2部では、強化学習エージェントや予測型ディープニューラルネットワークなどの複雑なシステムにおける失敗を活用し、それに対応する生物学システムを理解するための実験について詳しく説明します。
ブロックチェーンは単なる分散型台帳ですが、近年、分散と信頼という概念を透明な方法で推進するために多くの技術革新が進められています。ブロックチェーンの主要な用途には明らかな落とし穴がありますが(最大の落とし穴は、時代遅れのプルーフ・オブ・ワークに基づくチェーンが大量のエネルギーを消費することです)、この技術の背後にあるアイデアは検討する価値があります。特に、企業のすべての活動を分散型データベースに構築し、関係者(ビジネスパートナーから顧客まで)が関連情報に簡単にアクセスできるようにするというアイデアは、注目に値するものです。サプライチェーンから保証情報まで、ソニーのような多様な事業を展開する企業が、データへの迅速かつ容易なアクセスを可能にし、そのデータを基に新しい取引を承認し、さらにはこの技術に基づいた新しい体験を提供するソリューションを提供するとしたら?そのためには企業通貨の問題を避けて通ることはできません。企業がもし通貨管理に使用されることで知られている技術を使って全ての取引を管理していたとします。もしソニーが独自の通貨を持っていたらどうなるのでしょうか?
ベビーテック産業の勃興に代表されるように、近年子育てとテクノロジーの距離が近くなってきていますが、その多くは家庭育児を対象としています。核家族化が進行した日本では子育てノウハウの共有が大きな課題であり、専門性を持って子育てを行う保育園の重要性が相対的に高くなっています。そこで我々はこの分野を保育テックと呼んで研究開発に取り組んでいますが、日本の保育現場には制度的、文化的な特殊性があり、新たな技術開発を試み、現場活動を飛躍的に向上させることが難しい面があります。
本講演ではくらき永田保育園の鈴木園長先生、東京大学発達保育実践政策学センター(Cedep)の高橋先生をゲストに招き、本領域において研究者がとっているアプローチやこれまでの成果を紹介し、今後の技術開発について議論します。
ソニーCSLでは、長年にわたり取り組んできた言語の進化や構造に関する研究や、機械学習の研究に取り組んできました。これらの技術を活用して、カスタマーサポート向けサービスの開発をしており、コンタクトセンターにおける現場での運用ノウハウを長年に渡り蓄積している株式会社ベルシステム24ホールディングス(Bell24HD)との協業をしております。
本発表では、Bell24HDCIO兼CTOの景山紳介氏をゲストに招き、「ヒト」と「新技術」が融合し、協動する” Cybernetics Contact Center”の構築に向けた議論を展開したのち、エンジニアより現在開発を進めているサービスの紹介をします。
aSSe22プロジェクトはGPIFとのAIプロジェクト以来、金融における資産運用業界に対して「良きアウトサイダー」として様々なコア技術開発をしてきました。本発表では次の3点をご紹介します
「aSSe22プロジェクトとは」~Capability、経歴や働き方が高度に分散化した人材Portfolioチーム~
「AIは格付会社の仕事を奪うか?!」~人間とAIのCapability Portfolio~
「なぜ大手町ではなく、三鷹の森で金融人材を育成するのか」~国際基督教大学での金融AIプログラムと次に起こること~