
研究とは、私にとって「解決されていない問題に対する解を探求すること」であり、その解がそもそも存在するかどうか不確実です。ときには、解が存在しないという結論に至ること自体が大きなブレイクスルーとなります。リスクを内包してはいるものの、研究を通じて得られる洞察は、解決可能な問題を見極めたり、たとえ完全な解でなくともそれを得るために必要な労力を見積もったりするための直感を育んでくれます。
私のアプローチは、データサイエンティストの方法と似ています。「手持ちのデータが答え得る問いを探す」「問いに応じたデータを探す」という両方向のプロセスです。ある問いを扱うには抽象化や数学の力が必要な場合もあれば、問題に特化した具体的な解法が有効な場合もあります。これらのバランスを取るのは難しい一方で、抽象的な洞察から得られたエレガントかつ汎用的な解が生まれたときには、非常に大きな達成感があります。
私は特に、人間の行動に関する研究に惹かれます。たとえば、人気の変動メカニズムやソーシャルメディア上の意見の分極化、情報消費のあり方などです。具体的な問いをモチベーションに、分野を超えて通用する普遍的なパターンやルールを見つけたいという思いがあります。そのため、幅広い分野で応用可能な統計的手法や確率論的枠組みの重要性を強く認識するようになりました。
実用的なインパクトと理論的な基盤を併せ持つこの研究姿勢こそ、私の研究の本質を体現していると感じています。
Keywords
Statistical data analysis
Data-driven probabilistic modelling
Patterns of human behaviour
Human values